すのはなし

明るく楽しく無害に生きる

満員地獄のはなし

 

今朝 満員電車に乗った。

大阪で最も混雑すると言われている通勤路線。

 

わたしは昨日の晩から怯えていた。

人の波に飲み込まれることすらできず いつまでも電車に乗ることができなかったら…とか、乗った電車から降りられないまま終点まで行ってしまったら…とか、とにかくめちゃくちゃ心配していた。

人生初の二次面接に遅刻するなんてことがあったらもう腹を切って死のうと思っていた。

 

高校は自転車通学で 大学も人が集まる都会とは逆方向へ向かう電車で通学していたわたしにとって 満員電車など未知の世界。

高校のとき 雨の日に仕方なく電車で通学した日もあったが、満員電車は満員電車でも そこまで満員ではなかったので 今日が「ホンモノの満員電車」初体験だった。

 

電車に乗ってみると 本来の電車のキャパを超えているであろう人数が乗ってくるし、電車からカバンがはみ出てるのに無理やり体をねじ込んでくる強者もいた。

 

人がギッチギチに詰まった車内では 電車が少し揺れたくらいでは誰もふらつかない。

全員が立体パズルのように上手く支え合っていて もはや芸術的だった。

 

人はめちゃめちゃ多いし めちゃめちゃ押されるし 人との距離がめちゃめちゃ近かったけど、

 

地獄だ

 

とは思わなかった。

 

 

なぜならわたしは この大阪で一番の満員電車よりも満員の地獄を知っているから。

 

渋谷すばる LIVE TOUR2016 歌”

 

去年の2月にZepp Nambaで行われた渋谷すばるソロライブツアー、これは本当に地獄だった。

大好きなアイドルのソロツアー、こんなにも幸せなものはないと思うでしょ?

違う、騙されてはいけない、あそこは幸せが詰まった天国ではなく 間違いなく戦場だった。

 

京セラドームと長居スタジアム以外でのライブは初めてだったので めっちゃ調べて行った。

「人が多いので倒れないように水分補給は忘れずに」とか書いてあったけど、ライブに水分補給必要なくない?倒れるポイントなくない?とか思ってたわたしがバカだった。

 

Zepp Nambaのキャパは知らないけど、わたしの整理番号は203番とかで早い方だったと思う。

入場して前から3列目のセンターを陣取った。

確かに人は多いけど 多分朝の満員電車よりはましだよ なんて思って完全になめてた。

 

 

渋谷すばるが登場した瞬間 わたしは宙に浮いた。

 

全員が一気に中心に集まろうとした人の圧で わたしの両足は地面から離れてた。

あまりの衝撃(物理的な)でマジで体がペシャンコになるんじゃないかと思ったのを覚えてる。

 

渋谷すばるを大好きな女たちが 自らの体重という武器を振りかざしてくる地獄。

肺が押し潰される、息ができなくなる、気を抜いたら死ぬ。 そう思った。

 

胸の前で腕をクロスして自分の空間を確保してないと絶対潰されてた。

いい表現が見つからないけどあれは本当にヤバかった。

「人の波に飲み込まれる」とかじゃなくて「人に潰される」って表現が正しい。

 

ライブハウスとか好きな人、いつもあれを経験してるの 本当にすごいと思う。

わたしは大好きな渋谷すばるのライブ中でさえ

「早く終わってくれ、早く解放してくれ、早く満足に息を吸わせてくれ」

って願ってた。

「こんなところもう二度と来ない」とも思った。

 

半袖でもみんなめちゃくちゃに汗をかいてて 会場は蒸し風呂状態だった。2月なのに。

倒れて運ばれていく人が何人もいた。

わたしは汗をかかないから 体温調節ができず 血が沸騰するかと思った。

 

 20年の人生の中で初めて生命の危機を感じた瞬間だった。

 

本当に辛いライブだったけど、あのライブのおかげで満員電車に耐えることができていることを思うと あの地獄の戦場には感謝しなきゃいけない。

いつもの京セラドームよりも小さな会場で いつもより近い距離で いつもと違うメンバーと 気持ち良さそうに歌う渋谷すばるさんは最強にカッコよかったし、早く帰りたいと思いながらも やっぱり彼が好きだと思った。

Tシャツにデニムスタイルのジャニーズっぽくないところも素敵で、彼の良さを再確認した貴重な時間だったと思う。

 

…なんか良い話にまとまった。

 

 

ただ、もう二度とZepp Nambaには行かないだろう。
人に押し潰されて死ぬなんて御免だ。